『地涌』は、平成三年一月一日、日顕が「C作戦」を発動し創価学会破壊の行動に出たことに即応(そくおう)して発信され始めたFAX文書である。爾(じ)来(らい)、三年近くの間、いまや邪宗・日顕宗と化した日蓮正宗の末寺に送られている。

本書は、『地涌』が発信されて以来の主に歴史に関する文を集めたものである。あるものはいくつかの文を合わせて一文とし、あるものは補(ほ)筆(ひつ)した。

ただし、第四章の「法滅尽の時こそ大法弘通の時」と、第三章の「死の恐怖につけこんだニセ本尊(導師本尊)」は、原文のままである。

「法滅尽の時こそ大法弘通の時」は、平成三年九月二十五日の『地涌』(第二六八号・第二六九号合併号(がっぺいごう))に掲載(けいさい)されたものである。日顕の狂刃(きょうじん)を前にして懸命(けんめい)に守りを固くしていた創価学会員に、創価学会出現の意義を噛(か)みしめてもらいたくて、必死で書いたものである。創価学会が御本尊の授与をおこない、和合僧団としての盤石(ばんじゃく)な態勢(たいせい)をつくり得た今日から振り返ってみると、創価学会内外の状況は二年有余の時を経(へ)ただけであるのに、隔世(かくせい)の観がある。しかし、それにもかかわらず、補筆訂正(ていせい)なく本書に同稿を収録(しゅうろく)できたことは、まことに感無量(かんむりょう)のものがある。

一方、「死の恐怖につけこんだニセ本尊(導師本尊)」は、平成四年一月三十一日から四月二十一日まで十二回にわたり『地涌』に掲載したものである。

先の「法滅尽の時こそ大法弘通の時」は一夜にして上(じょう)梓(し)したが、本稿は前年より下調べを始め、他方面にわたる膨大(ぼうだい)な資料と参考文献にあたることにより、ニセ曼茶羅の本質を見きわめ、満を持(じ)して完成したものである。

「導師本尊」がニセ曼茶羅であるとの『地涌』の報道は、友人葬を進めている仏子らの戦いにはずみをつけ、葬式坊主らの悪虐(あくぎゃく)に理論的とどめを刺(さ)すものであった。

今回、これら『地涌』の報じた創価学会および日蓮正宗の歴史に関する文をまとめ、一書として刊行できた意義は大きい。

なお、四章の冒頭を飾る「国家神道に随従(ずいじゅう)し戦争協力した宗門」は、本書の刊行にあたり、まったく新しく書き下(お)ろしたものである。戦中における国家による宗教政策を知り、日蓮正宗の動向を日蓮宗他派との連関の上で捉(とら)えるには、非常に有効であったと思う。

と同時に、国家神道が猛(もう)威(い)を振るい、「神宮」に対する「冒瀆(ぼうとく)」をした者が死刑にされた時代にあって、創価教育学会が謗法払(ほうぼうばら)いを敢然(かんぜん)とおこない、神札を焼却(しょうきゃく)して折伏行を推(お)し進めたことに驚嘆(きょうたん)せざるを得ない。この史実を知った者は、まぎれもなく創価学会が仏(ぶつ)意(い)仏勅(ぶっちょく)の団体であるとの思いを深くするだろう。

本書は、あえて十一月二十八日を発行日とした。ちょうど二年前、すなわち平成三年十一月二十八日、狂乱した日顕宗は、管長・日顕と総監・藤本日潤の連名で、創価学会に対し「創価学会破門通告書」を送りつけた。

日顕らは転倒(てんどう)しているが故に、宗門が仏意仏勅の創価学会により浄化されてきた史実を忘れ、みずからが広宣流布の本流にあるかのように錯覚(さっかく)していたようである。

創価学会を”破門”した日顕らは、広宣流布の滔々(とうとう)たる流れより離れてしまい、みずから仏弟子としての命脈(めいみゃく)を絶(た)ってしまったのである。つまるところは、日蓮大聖人より”破門”になってしまったのは日顕宗の者らであったのだ。

この「創価学会破門通告書」は、信徒を”破門”するのに”破門”の根拠を示す一つの御聖訓(せいくん)すらも提示していないという、まことにお粗(そ)末(まつ)なものであった。

日蓮大聖人曰く、

「文証(もんしょう)無からんをば捨てよ」(聖愚問答抄)

日寛上人曰く、

「文証無きは悉(ことごと)く是れ邪義なり」(依義判文抄)

日顕らが送りつけた「創価学会破門通告書」は、かくも無(む)惨(ざん)なものであった。

これによって、日顕宗の輩(やから)は天下に恥を晒(さら)したが、性(しょう)懲(こ)りもなく、今回は創価学会が御本尊を授与し始めたことに狼狽(ろうばい)し、四通のはがきを創価学会員に出し脱会させようと企図(さと)している。これらの策動(さくどう)で脱会する創価学会員などいるはずもなく、徒(と)労(ろう)に終わることは目に見えている。

本書を刊行したのは、いちおうは、これら「創価学会破門通告書」に代表される日顕宗の稚(ち)拙(せつ)な文書による妄動(もうどう)を笑わんがためである。さらに本義を明かせば、創価学会の正義と初代、二代、三代会長の師子(しし)奮迅(ふんじん)の戦いを後世に伝えんがためである。

地涌からの通信別巻②歴史編

1993年11月28日初版第1刷発行

著者=不破優

発行者=濱野晃

発行所=株式会社はまの出版

〒102東京都千代田区一番町6-4L/M一番町第2-401

印刷所=株式会社トービ

製本所=加藤製本株式会社

@Y.Fuwa Printed in Japan

ISBN4-89631-160-7 C0014